桃田賢斗氏 インタビュー
選手として輝ける瞬間はあっという間。
悔いのないよう大会に挑んでほしい。
Q1. 今年、日本代表を引退されました。この大会に臨む後輩たちへメッセージを。
日本代表を引退するまでは「ストイックにやらなきゃ」と張り詰めた気持ちでしたが、今は自分のペースで楽しく練習できています。今振り返ると、こうしたアプローチの方法もあったかもしれません。熊本マスターズジャパンに限りませんが、後輩の選手たちには「勝てない自分」から目をそらさずに挑戦し続けてほしい。選手として現役を続けることはできても、本当に輝ける瞬間というのはあっという間ですから。その一瞬のためにどれだけ辛いことにトライできるかで、結果が変わってくると思います。
ちなみに昨年の熊本マスターズに選手として参加した際は、めちゃくちゃ熱い声援を送ってもらいました。これまで数々の試合に出ましたが、もう一段階すごかった。今年も大きな声援で後押ししてもらえると思うので、自信を持って挑んで後悔のない試合にしてほしいです。
Q2. パリ・オリンピック後の熊本大会。日本国内もこれから世代交代が進んでいくと思いますが、注目している選手は。
まず、ワタガシペアとしてパリ・オリンピックで銅メダルを獲得した五十嵐有紗選手(旧姓・東野)。ペアを解消した後は櫻本絢子選手と新たにペアを組んでいますが、ミックスダブルスから女子ダブルスへと転向した彼女が、どんなプレーをしてどんな結果を出せるか。ファンの一人として気になります。そして男子シングルスでは渡邉航貴選手と熊本出身の田中湧士選手。
特に湧士は同じチームに所属していることもあって、一緒に練習できるときはアドバイスしています。高いところから打つキレのあるショットやスピードは自分にないものを持っている半面、ミスをしやすいので、そこは改善していってもらいたいなと。彼にはすごく期待しているので、頑張ってほしいです。
Q3. 大会以外で熊本の印象について教えてください。
熊本を訪れたのは、昨年の熊本マスターズが初めてでした。おいしいものがたくさんあって、馬刺しや馬の焼肉、阿蘇くまもと空港の飲食店で食べたお寿司も印象に残っています。
大会の期間中は朝から熊本城のお堀周辺をジョギングしました。熊本城と加藤清正像がとてもかっこ良かったです。熊本地震の影響で石垣の一部が壊れている姿を目にし、これを風化させちゃいけないと強く感じました。自分も高校生のときに東日本震災を経験していますから。
Q4. ジュニアの育成に力を入れておられます。熊本はバドミントンが盛んですが、ジュニアの方々に「競技を続ける秘訣」を教えてください。
姉の影響でバドミントンを始め、今日まで続けることができたのは、シンプルにバドミントンが好きだったからです。高みを目指すと99%辛いことばかりですが、その中に1%の楽しさがあって。それは試合に勝つことはもちろんですが、練習したことを発揮できたときもそう。その1%の感動が忘れられず、もっと練習をしてもっと強くなりたいというモチベーションにつなげてきました。
自分の場合は中学・高校の頃に出会ったコーチや先生たち3人の影響がとても大きく、今日まで頑張ることができました。今、全国の子どもたちに講習会を開いているのも、「きっかけ」作りのためです。バドミントンの楽しさや厳しさを伝える中で「こうやったらうまく打てるんだ、もっと上手になりたい」と思えるきっかけがあれば、やる気が芽生えると思うから。そして将来、世界にはばたく選手へと成長してくれたら、すごくうれしいです。
Q5. 公式アンバサダーとしてメッセージをお願いします。
首都圏以外で国際大会が開催されることはほとんどなく、今回の熊本マスターズジャパンは世界で活躍するトッププレイヤーたちの激闘を間近で見ることができるたいへん貴重な機会となります。熊本はバドミントンがとても盛んな土地柄なので、ジュニア世代やバドミントンに興味をお持ちの皆さんにとって絶好のチャンスではないでしょうか。しかも、会場となる熊本県立総合体育館は観客席とコートとの距離が近いこともあって、応援の声がめちゃくちゃ聞こえます。
自分は応援されるとよりパワーを発揮するタイプなので、すごくやりやすかったのを覚えています。大きな声で応援するのは恥ずかしいという人も、勝ってほしいと願う気持ちは選手たちに届くと思うので、ぜひパワーを送ってあげてください。そして、ぜひ会場で生の迫力を感じてください。