藤井・垣岩ペア インタビュー
パリ五輪で活躍した選手たちも出場予定。
世界レベルの攻防戦を間近で味わって。
Q1. 久しぶりの「フジカキ」ペアの登場ですが、お二人は普段から仲良しと聞いています。
藤井 日頃からこまめに連絡を取り合っていて、私が熊本に帰ると彼女の家へ泊まりに行ったりする仲です。会うと必ず一緒に撮った写真をインスタグラムへ投稿して「今でも仲が良いよ」とアピールしています(笑)。令佳とは同じ青森山田高校のバドミントン部で、彼女は一学年後輩になりますが、私にとって特別な存在。プライベートなことも全部話しますし、彼女に何かあれば心配しますし。妹のような存在です。
垣岩 高校時代、藤井先輩は私にとって憧れの存在でした。私たちが通った高校はバドミントンの強豪校で、部員が多いこともあって1学年違いの先輩と話す機会はほとんどありませんでした。ところが、ある試合の直前に監督から藤井先輩とペアを組むよう指示されて。とにかく緊張しましたが、それがうまくかみ合ったんです。社会人になって改めてペアを組んだとき、先輩から「タメ口でいいよ。もっと一緒にバドミントンを楽しみたいから」と言ってもらえて、関係性がより近づきました。ちなみに私たちの性格は正反対。ペアを組んでいた頃も、ポジティブな先輩に対して私は慎重なタイプ。お互いに補い合えていることも良い関係が続いている理由かもしれません。
Q2. お二人は2012年のロンドンオリンピックで銀メダルを獲得されました。今年はパリオリンピックで、熊本にゆかりのある山口茜選手やシダマツペアが活躍しました。どのような心境で試合を見ていましたか。
藤井 日本の選手たちは本当に強くなりました。とくにシダマツペア(志田千陽選手、松山奈未選手)や山口茜選手とは同じ再春館製薬所のチームで一緒にやってきたこともあって、3人の成長ぶりを感じましたし、よくここまでやってきたと思います。日本中でメダル獲得を期待する声が高まる中で、しっかりと結果を残してくれました。
親のような気持ちでテレビ越しに応援していたので、自分のことのように嬉しいです。
垣岩 私はチームスタッフとしてパリに同行しました。これまでの4年間、志田、松山、山口たちがさまざまな大会で着実に結果を積み上げていく姿を見てきました。その集大成となるパリ五輪で力を出し切ることができて、よく頑張ったなという思いです。そして同時に、私たちもロンドンオリンピックの舞台に立ったことが今でも不思議というか、信じられない気持ちです。ほかの大会とは違う特別な空気感があって、改めて感慨深いものがあります。
Q3. 藤井さんは解説者として、垣岩さんは指導者としてそれぞれの道でバドミントン界に貢献されています。今後、世界と戦っていく日本のバドミントン界をどのように見ていますか。
藤井 私たちがロンドンオリンピックに出場したときは、日本バドミントン界で初めてのメダルを獲得し大きな話題となりました。しかし、その後は多くの選手が世界舞台で多くの成績を残してくれ、今ではメダルを取るのが当たり前と思われるレベルになっています。選手たちは金メダルを目指して戦っていると思いますが、結局は「今、やるべきこと」を実践できていないと最終目標にはたどり着けません。
「今」に目を向けて全力で取り組む。そこから一つ一つ積み重ね、その結果がオリンピック出場やメダル獲得につながると思うので、まずは自分がやるべきことは何かをしっかりと見極めて取り組んでほしいです。
垣岩 コーチとして今の選手たちを見ていて思うのは、たとえスランプがあろうと自分から逃げずに向き合ってほしいということ。少し嫌なことがあると「もうダメだ、挫折した」と、諦めるのがちょっと早いと感じる場面があります。人は頑張った分だけ良い結果を求めたくなるものですが、実際はそううまくいくとは限りません。良いことも悪いことも経験しながら強く成長していってほしいです。私は藤井先輩とペアを組んでいたとき、コミュニケーションの大切さを学びました。そのことがことあるごとに救いとなり、本当にありがたかったので、私も選手一人一人としっかりコミュニケーションを図りながら成長を見届けていきたいです。
Q4. 熊本マスターズジャパンには全国から多くのファンが熊本に来られます。大会以外の熊本の楽しみ方を教えてください。
藤井 会場の熊本県立総合体育館は熊本城に近いので、ぜひ足を運んでみてもらいたいです。熊本市の繁華街も徒歩圏内で、山海の幸に恵まれた熊本はお肉料理からお寿司までおいしいものがそろっており、ぜひ味わってもらいたいです。試合観戦を機に観光やグルメを楽しんで熊本を好きになっていただいて、来年も再来年も「熊本マスターズへ行きたい」と思ってもらえたらうれしいです。
垣岩 私は、育ったのは滋賀県ですが、天草生まれです。幼少期からたびたび訪れていたので、天草が私の“推し”です。天草には美しい海が広がっていて新鮮な刺身も味わえるので、時間があれば足を延ばしてみてください。山が好きな方なら、やっぱり阿蘇。観光スポットが充実していて大自然を感じることができます。ちなみに大会期間中、運が良ければ世界のトッププレイヤーたちと熊本の街や熊本駅周辺で遭遇できるかもしれません。海外選手は日本食が好きなので、昨年同様、熊本グルメを求めて出歩く選手も多いのではないでしょうか。
Q5. 公式アンバサダーとして、全国のバドミントンファンにメッセージをお願いします。
藤井 初開催となった昨年は、会場の盛り上がりがすごくて驚きました。もし私が現役の選手だったら、絶対にエントリーしたいと思える素晴らしい大会でした。熊本マスターズジャパンには世界の頂点を目指す選手たちが集い、最高レベルの試合を繰り広げます。先に行われたパリ五輪でも、昨年の出場選手たちが躍動しました。女子ダブルスのシダマツペアや山口茜選手の試合をテレビの生中継で見て関心を持たれた方も多いのではないでしょうか。開催期間中は、白熱したゲームが毎日繰り広げられますので、場内の活気や緊迫感も含めてバドミントンの楽しさを肌で感じていただきたいです。
垣岩 昨年は、くまもと再春館製薬所バドミントンチームのコーチとして参加しました。会場はコートと観客席との距離が近く、シャトルの跳ねる音や選手が地面を蹴る音などを感じながら、息をのむ攻防戦を間近で味わうことができます。私自身がバドミントンを始めたきっかけは、3歳上の姉の試合を見に行ったことでした。この大会を機に、やってみたいと思う人が出てきてくれるとうれしいです。そして、既に競技に親しんでいる皆さんは、ご自身の目標を上げるためにも世界クラスのプレーを間近で感じてもらいたいです。今年も熊本から再春館チームの選手たちが出場しますので、たくさんの応援をよろしくお願いいたします。